【限定】猫の紆余曲折(2023年10月27日)

こんにちは☀️
今日は猫の歴史を少し視座を高くして振り返りたいと思います。

猫は1万年前に家畜化(ペット化)されましたが、時には神として崇め奉られ、時には大量に虐殺され、時には道具として利用され、そして、私たちの世代で家族の一員に昇格しました。

退屈しないよう要点を絞って解説しますので是非最後までお読みください😺

目次

家畜化(1万年前)

↑リビアヤマネコ

1万年前に中東で人間が穀物の栽培を始め、狩猟採集民族から農耕民族に進化しました。
現在の全ての動物の家畜化は穀物の栽培をきっかけにスタートしています。

猫も例外ではなく、中東に住んでいるリビアヤマネコが定住した人間の集落に自分から近づき、ネズミを食べたり、人間から残飯を貰っていたようです。
実はその後、世界各地で現地のヤマネコが家畜化されかけたようですが、人間との相性が合わなかったようです。

なので、現在のイエネコのルーツは全てリビアヤマネコになります。

神(2,400年前〜12世紀)

猫は世界各地で宗教と強く結びつき、古代エジプトではバステトとして崇拝の対象になっていました。
人間の勢力拡大とともに猫はヨーロッパに進出しました。
2〜6世紀にはヨーロッパでも猫が崇拝され、ベルギーでは現在でも「猫祭り」が開催されているとのこと。

そうは言っても、悪霊を退散させると言って生贄にされたり、畑の豊作を願い殺されて埋められたり、新築をネズミから守るために殺されて床下に安置されたりしていたそうです。

もっと酷いのは、ヨーロッパの多くの都市では「祝日の慣習」で、猫を火炙りにしたそうです。理由は、猫の悲鳴が悪霊を退散させるからだそうです。
ベルギーでは猫を塔のてっぺんから投げる習慣がありました。上の写真の猫祭りの一環ですね。1817年までは生きた猫を投げていたそうですが、今は猫のぬいぐるみを投げているとのこと。

まぁ、文化なので文句言っても仕方ないのですが、本当に猫を崇拝しているのか疑ってしまいますよね😅

ただ、これでも猫にとっては良い時代。
ヨーロッパで様々な宗教が共存していた時代では、猫の存在は「正義」でした。

そう、キリスト教がヨーロッパの第一宗教となった時、事態は急変しました。
キリスト教は他の宗教を淘汰し始めると、ついでに神である猫を迫害するようになります。

そこからが猫にとって地獄の始まりです。

悪魔(13世紀〜現在)

1233年、ローマ教皇が書籍で「黒猫の正体は悪魔」と発信。
そこから300年にわたり、何百万頭の猫が虐殺されました。
さらに、猫を飼っている女性の飼い主は「魔女」の疑いをかけられました。

「黒猫が不吉」みたいな考えは残念ながら今も生きていますよね。そして、魔女と黒猫のセットもしっくりきます。

そうは言ってもさすがは猫様。
ヨーロッパでも田舎の方では農民のハートをゲットして迫害の影響を逃れ、わりと平和に暮らしていたようです。

ところが、1340年に大流行した「黒死病」という感染症でヨーロッパの1/3の人が亡くなったのですが、なぜか犯人が猫ということになり、ロンドンでは20万頭の猫が殺されました。
ちなみに、黒死病の本当の犯人はネズミです🐭

17世紀のヨーロッパでは、魔女が猫に変身できると考えられ、夜に猫と遭遇した場合は公的に殺害してもOKとされていました。猫の火炙りも普通にしていたそうです。
その猫の正体が変身した魔女だったら大変だからです。

江戸時代の日本でも「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざの中で、普通に猫が殺されていますね。まぁこれは虐殺ではなく、その人が生活するためだから一定の理解はできますが。。

18世紀になると猫に光が差し始めます。
フランス貴族の女性の間で猫をペットとして飼うのが流行り、亡くなった時は猫の墓が造られたりもしました。

19世紀になると、猫はイエネコとしての地位をようやく確立しました。
イギリスのヴィクトリア女王を始め、いろいろなお偉い人たちが猫を飼うようになりました。

世界各地で猫を殺さなくなり、猫の外見も多様になっていきました。
突然変異が「奇形」ではなく「珍しい」と認識されるようになり、そういう変化を尊重する飼い主が増え、やがてそれぞれ特徴のある現在の「猫種」へと固定されていきました。

余談ですが、くぅちゃんを始め、雑種に多い「ハチワレ」はどこかの時代・地域で人気だったと想像しています。でなければ、本来の模様ではないにも関わらずこのハチワレ率の高さは説明がつかないです😺

現在

つい数十年前まで、猫はネズミを狩る道具でしたが、20世紀後半に「総合栄養食」が登場したことで飼育技術が確立し、あっという間に犬の人気を追い抜いてしまいました。

私たちが子供の頃は外出するのが基本だった猫ですが、いつの間にか完全室内飼いが基本になりました。
逆に、野生動物を絶滅させるくらいに優秀なハンターなので、むしろ家から出さない方が正しいとさえ言われています。

事故や感染症のリスクはほとんどなくなり、飢えもなく、遊びたい時に遊んでくれる飼い主がいる、最高の環境を手に入れることができました。
生活習慣病などの別の問題はあるものの、猫はかつてないほどの健康を手に入れられました。

2010年代では、猫のグッズやフードは売れに売れ、マーケット市場はどんどん大きくなってきました。
2012年に発売されたちゅ〜るなんかは全国民が知っているレベルになりましたね。

未来

冒頭で人間は1万年前に猫を家畜化したと言いましたが、逆だったようです。
家畜化されたのはどうやら私たちなのかもしれません。

これから私たちはますます猫様に快適な生活を提供し、崇め奉っていくでしょう。

すでに現実世界を征服した猫様ですが、実は次のステージの征服も完了しています。
それはインターネットや創作の世界の征服です。
ハローキティは現代のスフィンクスです😺

ここからは根拠のない私の予想になりますが、今後の猫はおそらく身体の大きさが多様化していくと思います。
オオカミは長い歴史の中でセントバーナードからチワワまで身体の大きさが多様化しましたが、猫の飼育はまだ始まったばかりだからです。
そして、さらに社会化が進み、ライオンのように集団生活に適応できる猫の割合が増えていくと考えられます。

あともう1点、犬も猫も、炭水化物の代謝が上手になっていくの間違いなさそうです。
すでに犬はデンプンの消化がオオカミより上手になってきましたが、これだけバカバカ穀物を食べさせていたら、人間より早く適応できるようになっていく可能性が高いです。
なぜなら、人間より一生が短いので、突然変異できるタイミングが多いからです。動物が進化するタイミングは世代交代する時ですので🙆🏻‍♂️

これらの変化を私たちが生きているうちに見るのは難しいかもしれませんが、近い将来起こりうることだと思います。

それにしても、1万年前にせっかく人間の傍にきてくれたのに、かなり酷い目に合わせてしまい、それでも近くにいてくれる愛猫に感謝ですね😻

今後はより感謝しつつ、猫との暮らしを楽しみましょう😊

参考書籍

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この記事を書いた人

猫好きの獣医師です。野生動物の診療、動物病院の勤務、研究職を経て、今はフリーランス獣医師です。主に犬と猫の食事の情報を発信します。世間には誤った知識が多く(古い知識がまだ当たり前になっていて)、栄養学にうとい獣医師も少なくありません。微力ながら犬と猫の命を救う手助けができれば幸いです。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回のコラムは、衝撃の内容でした。
    昇格した猫様の存在しか、知らなかったので(現在も過酷な環境下に生きている外猫もいますが)
    はるか昔たくさんの猫が、悲惨な目に遭っていた事を知り、ショックでした。
    人間の身勝手さを強く感じました。
    現在のイエネコとなった猫様には、辛い目に遭った過去の猫達の分まで、幸せに暮らして欲しいものですね!
    猫の歴史とても解りやすく、猫の人気に「総合栄養食」が、関係していたのは初耳でした。
    身体の大きさが多様化した、未来の猫様にも会ってみたいですね(笑)
    今回のコラム…さらりと書ける、くぅ先生の新たな一面を見てしまったような😂

  • ミミさん
    そうなんです、私も本を読んでいてショックでした。
    おっしゃる通り、過去を知り、その分今の愛猫に幸せなってもらいましょう。
    今回は1万年をぎゅ〜っと濃縮してお届けしました😊

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