
今回はペットより飼い主さんにフォーカスした内容でございます😊
実は畜産関係にも片足を突っ込んだことがある獣医師くぅですので、今回は「地鶏」について解説します。
どこの業界にも「違法じゃないけど、実質、詐欺じゃない?」という事例はあるもので・・
本コラムが、ご自身が「何を食べているか?」を理解する一助になれば幸いです👍
問題はこちら💁🏻♂️


青森県の桜姫(さくらひめ)、広島のひろしまハーブ鶏・・なんだか「地鶏」っぽくないですか?
しかも、安いんですよね〜
残念ながら、これらはちょっとだけ工夫されたブロイラーです。国産には違いないですけどね。
大きい声では言えませんが法に触れない「詐欺」だと私は感じています😅
分かりづらいのは、ブロイラーも美味しいので、上手に調理されたらもう分からないんですよね(笑)
でも、地鶏は味が全然違います。
結論
実は、世の中のそれっぽい名前の鶏はほぼブロイラーです(笑)

この図をご覧になれば分かる通り、流通する鶏のうち、地鶏はわずか1%です。
そして約半分は若鶏。つまりブロイラーです。
そして、やっかいなのは残り半分の銘柄鶏(ほぼブロイラー)です。
地鶏は生産コストがとにかくかかるし、その分美味しいんですが、銘柄鶏はコスパよく生産できる割に、それっぽい名前にすると消費者が勝手に勘違いしてくれるので非常にコスパが良い商品です。
ペットフード業界でも銘柄鶏の「霧島鶏」がもれなく参入しています😅

ということで、地鶏っぽい名前でも、地鶏を装った“ほぼ”ブロイラーがほとんどだよ〜ということを覚えておいていただけたらと思います。
見分ける方法はググる以外ありませんが、僕の経験上の、なんとなくの見分け方はこんな感じです。

・赤っぽい
・味は良いけど、硬い
・値段がバカ高い
私が好きな地鶏は500円/100gくらいします(笑)
一方、銘柄鶏とブラジル産の激安ブロイラーの味の違いは私の舌には分かりません😅
地鶏とは?
ではここからはマニアックな話になります!
地鶏の定義はこちら▼
①在来種の血が50%以上
②生後75日以上経ってから出荷(多くは100日以上。一方ブロイラーは生後40日くらいで出荷)
③ケージではなく、地べたで飼育
④過密飼育NG(ブロイラーはぎゅうぎゅうです)
つまり、明治時代より前に日本に来た鶏の血が半分以上あれば、もう半分はブロイラーでもOKということです。
これを聞いた私の両親はとても驚いていました。
在来系はシャモや名古屋コーチンなど有名な鶏が多いです。


もちろん、シャモや名古屋コーチン単体でも地鶏として成立するのですが、実は2〜3種類別の種類を掛け合わせると、より美味しく、より病気に強い鶏ができるので多くの地鶏は2〜3種類の鶏を掛け合わせています。
例えば、こんな感じです▼
秋田県の比内地鶏は「比内鶏」✖️「ロードアイランドレッド」
※比内鷄は在来鶏、ロードアイランドレッドはアメリカで作られた鶏ですが明治時代に日本に入ってきたのでギリ在来鶏です(笑)



超マニアックですが、顔がシャモなので、比内鶏の先祖を辿るとシャモに行き着くと個人的には予想。


徳島県の阿波尾鶏は「シャモ」✖️「白色プリマスロック」
※シャモは在来鶏、白色プリマスロックはブロイラーです。
「あわおどり」って私の中で「ネーミングセンスのある地鶏」1位です😆


そもそも鶏とは?
猫の祖先がアフリカのリビアヤマネコ、犬の祖先がタイリクオオカミというのと同様、鶏にも祖先がいます。
それが南アジアにいるセキショクヤケイです。


もともとは山奥にいた野生の鶏ですが、6,000年ほど前に家畜化されたとのこと。
美しいですよね🥰
鶏は最初は食料ではなく、神として崇め奉られたり、闘鶏というギャンブルに使われたり、いろいろな紆余曲折を経て、現在の「食料」というポジションに収まりました。
私が養鶏場の鶏を見て驚いたのは、オスの性欲です。
ずっとメスを追いかけ、ひたすら交尾をしていました。しかも交尾は数秒で終わります。
この本の中で、こんなエピソードがあります。
アメリカの大統領夫妻がある養鶏場を視察しにきました。
そこで、交尾しまくっている鶏を見た大統領の奥さんは飼育員に尋ねました。
👩🏼「あのオスの鶏は1日に何回交尾をするの?」
飼育員は答えました。
👨🏻🌾「100回以上でございます」
大統領の奥さんは飼育員に言いました。
👩🏼「そう。じゃぁ、そのことを旦那に伝えておいて」
飼育員は大統領にそのことを伝えました。
すると、大統領は飼育員に尋ねました。
🧔♂️「なるほど。ところで、オスの鶏は決まったメスとだけ交尾をするのかい?」
飼育員は答えました。
👨🏻🌾「いえ、みさかいございません」
🧔♂️「では、そのことを妻に伝えてくれ」
なんとも下世話なエピソードですが、実際に養鶏場で鶏の様子を見てみると「なるほどな〜」と思いました。
ちなみに、上記の本は翻訳本で超読みづらいですが、内容は面白いので気になる方はぜひ。
鶏は、本人が幸せかは分かりませんが、もう絶滅するリスクが極めて低い、「種」としては世界で最も成功した鳥になりましたね。
(参考)
・日本食鳥協会HP
コメント